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英語の比喩表現(1)《執筆A.Y.》

比喩表現とは何か特別なものだと思っている人も多いのではないでしょうか。

詩人が好んで用いたり、普通に言えばいいことを、わざと飾り立てて言ったりする特殊な表現方法だと考えているのです。

しかし、日常生活の中で私たちは無意識のうちにかなり多くの比喩表現を使っています。

これは英語でも事情は同じです。

英語は英語なりの比喩表現が、英米人の会話や手紙、新聞記事などの中にぽんぽん飛び出してきます。

それらの中には、日本人でもすぐに納得できるものあれば、あまりにも意想外で、なぜそんな言い方をするのかまったく見当がつかないものもあります。

そうした比喩表現の中に英米人のものの感じ方や考え方、行動の仕方など、つまり文化の一端をうかがい知ることができます。

また、文字通りの意味が比喩的に使われるようになる、そのプロセスを考えることは、英語のセンスを磨くトレーニングになります。

まず、英語には動物を比喩として用いている表現がたくさんあります。

人間に最も身近な動物である「犬」から始めましょう。

dog-eat-dog

文字通りには「犬が犬を食う」ということですが、唯一生き残れる道となれば犬が仲間を食べてしまうことから、比喩的に「きわめて冷酷な競争、食うか食われるかの争い」という意味で使われます。

Advertising is a dog-eat-dog business.

a dog's life

「犬の生活」というのが文字通りの意味ですが、比喩的には「悲惨な暮らし」という意味。

犬の生活は惨めだという認識は16世紀からあったそうです。

lead a dog's life(惨めな暮らしをする)

a dog in the manger

文字通りには「かいば桶の中にいる犬」。

自分は干草など欲しくないのに、ほかの動物が食べようとして近づくと邪魔をした犬の寓話(イソップ物語)から、比喩的に「自分には必要ないものを他人が使ったり所有するのを阻むような意地悪な人」を指します。

a / the hair of the dog (that bit you)

文字通りには「(噛みついた)犬の毛」。

昔、犬に噛まれたときは、その噛んだ犬の毛を焼いたものを患部に当てれば治るという俗信から、比喩的に「二日酔いを治すための迎え酒、毒を制する毒」という意味で使われます。

Even a hair of the dog didn't help his aching head.

go to the dogs

「犬に堕す」というのが文字通りの意味ですが、犬は下等だと思われがちだったことから、比喩的な意味は「落ちぶれる、堕落する」ということ。

The country's really going to the dogs!

のように、組織などについて使われますが、人にも使えます。

人について使われるときには、道徳上の没落であることが多く、たいていはみずから堕落を招いたという含みがあります。

犬は忠実の象徴とされますが、このように、英語としてのイメージは必ずしもよくないようです。

ほかに、be in the doghouse(犬小屋の中にいる→悪いことや失敗をして、面目丸つぶれである)という表現もあります。


「英語の比喩表現(2)」へ続く


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