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日本語と英語のズレ(2)《執筆A.Y.》

「親類」とrelative

今度は名詞のrelativeを取り上げます。

英和辞典ではこの語に「親類、親戚」という訳語を当てているのが一般的です。

日常語としては、親子・夫婦・きょうだいといった家族関係にある者を「親類(の者)」と呼ぶことはできません。

難しい言い方をすると、「家族」と「親類」は包含関係にはありません。

しかし、relativeを英英辞典で引くとa member of your familyと定義されています(この定義の中のfamilyは「家族」ではなく、もっと意味の広い「一族」です)。

つまり、家族の者が最も近いrelativeになるのです。

ですから、「親類」が表わす意味範囲よりもrelativeのそれの方が広いと言えます。

英和辞典の記述をよく見ると「親類、親戚(親・子・兄弟なども含む)」といった形で、意味範囲のズレを注記していたり、「身内」といった訳語を与えたりしています。

もう一つ、上の定義で注目しなければならないのがa member ofという表現です。

これによって、familyは集団を表わす語ですが、relativeは集団の成員を示す語であることがわかります。

したがって英和辞典が「親類」などの訳語を与えるだけでは不十分だということになります。

日本語の「親類」という語はときには個人を指すこともありますが、基本的には「家族」「一族」などの語と同じく、集団を表わす集合名詞と考えられるからです。

そこで再び英和辞典の訳語を追っていくと「親類の者、身内の人」という訳語が見つかります。

relativeの定義にあるfamilyという語も、日本語の「家族」に比べると意味範囲が広く、「同じ祖先から分かれたと見る集団」のいくつかのタイプを表わします。

He's American but his family come/comes from Ireland.

Asthma runs in the family.

This painting has been in our family for generations.

これらの用例のfamilyに対応する日本語は、前述の「一族」などが適切でしょう。

Couples with young families wouldn't want to live here.

They're getting married next year, and hope to start a family straight away.

My dad died when we were small so my mum raised the family on her own.

これらの用例のfamilyは、文脈から「一家の子供たち」を指していることがわかります。


「日本語と英語のズレ(3)」へ続く


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