訳と意味の理解(2)執筆A.Y.

文化的背景に目を向けよう(1)

文脈さえ与えられれば意味を正確に伝える訳ができるのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

文脈がはっきりしていても訳すことが不可能または困難な場合があります。

それは、各国特有の文化的な背景をもつことばを訳す場合です。

そういうことばの多くは、宗教・芸術などに関することばや、生活習慣的な身近なことばです。

例えば、日本語の「わび」「さび」「義理」「人情」などということばが英語に訳しにくいことはよく知られていますが、例えば、英語のbathroom, bathrobe, pancakeなどという単語も日本に該当するものがないのでうまく訳せません。

bathroomは一応「浴室」とか「風呂場」と訳せますが、そう訳したのでは浴槽だけでなく、洗面台と便器が付いている欧米の家屋構造が表されません。

bathrobeも「寝巻き」とは違いますし、pancakeも「ホットケーキ」と訳したところで、訳そのものが英語からの借用語である上に、日本の「ホットケーキ」と違うところがわかりません。

英語の学習という観点から言えば、このようなことばを無理して日本語に訳すことで意味を理解しようとしても意味がありません。

こういうことばは、先生の説明なり、辞書なり、あるいはその他の方法で、それらがどういうものであるかをつかむことが重要であって、いったんわかってしまったら訳をする必要はありません。

この種のことばは身のまわりにかなりたくさんあるので、特に日本語を英語に訳したり、英語で日本のことを説明したりするときに困ることがよくあります。

「おせち」「げた」「座敷」「たくあん」「床の間」「ゆかた」など、あげたらきりがありません。

このようなことばは、多くの場合ズバリの英訳は不可能なので、

a yukata, an informal cotton kimono worn in the summer

のような説明をするしかありません。

このように、手持ちの英語表現を使って日本の事象を説明しようとすることは、アウトプットのよい練習にもなりますから、普段の学習の中に取り入れてみてください。

前述のように、各国特有の文化的背景をもつことばには、訳すことが困難なものが多いのですが、そういうことばは広い範囲に分布していて、日常よく用いられることばのほとんどは、多かれ少なかれその国の文化とつながっていると言ってもいいでしょう。

例えば、英語のbreakfastを「朝食」と訳したとします。

「朝食べる食事」という意味では日英共通なのですが、もちろん朝食の中身は異なります。

アメリカなら、トースト、コーヒー、ジュース、ベーコン・アンド・エッグを食べたり、ホットケーキにミルク、コーヒー、ジュースを食べたり飲んだりします。

そう考えるとbreakfastをただ「朝食」と訳しただけで中身がわからなければ本当の意味を理解したとは言えません。

訳を意味の理解の手段にすることの問題点の一つがここにあるのです。


「訳と意味の理解(3)」へ続く

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