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単語の意味はどうして増えるのか(1)執筆A.Y.

おそらく多くの人にとって、英語の勉強で最も大変なことの一つが、単語を覚えることですが、たいてい一つの単語にはいくつもの意味がありますから、余計に大変に思えてくるわけです。

辞書を引くと、やさしい基本的な単語ほどたくさんの意味があって、これを全部覚えなければならないのかと思うと、ためいきが出てきます。

単語にはどうしてこれほどたくさんの意味があるのでしょうか。

その理由を知っておくことは、単語を覚えるのに必ず役立ちますので、ここでいくつか述べたいと思います。

基本的な単語について、そのたくさんある意味を一つ一つみていくと、意味がたくさん分かれていても、たいていは、核となる意味があって、そこからいろいろな意味に派生していることに気づくはずです。

例えば、handという単語を辞書で引いてみると、「手(手首から先の部分)」「(時計の)針」「人手、働き手」「筆跡」といった意味が記されています。

一見すると、お互いに無関係な意味が並んでいるようですが、そうではありません。

例えば、「手」にはものを指し示す働きがあることから、時を指し示す「時計の針」という意味が生まれたのです(ちなみに、「時針、短針」はthe hour/little hand,「分針、長針」はthe minute/big handと言います)。

つまり、もともとは「手」を意味するhandという語が、「手のようなもの」を意味するようになったわけです。

この「〜のようなもの」という言い方は比喩の一種ですが、日本語では時計の2本の棒をその形から連想して「針」にたとえ、英語ではそのはたらきから「手」にたとえているのです。

ここに日本語と英語の比喩の違いを垣間見ることができます。

「筆跡」という意味も、「手で書いたもの」を「手」で表わす比喩によって生まれたのです。

この比喩は日本語でも偶然同じで、字の上手な人について「彼は手がいい」といった言い方をします。

これを英語では、He writes a good hand.と言います。

ここではwrite a good handというコロケーションに注意しなければなりませんが、handの意味は日英同じです。

ところで、「手」で「筆跡」を表わすように、あるものをそれに関連する別なもので表わすような比喩は換喩と呼ばれています。

crown(王冠)で「王位」を表わすのも同じ換喩です。

それに対して、「手に似たもの」を「手」で表わすような比喩は隠喩と呼ばれます。

He is a fox.というときのfoxという単語の意味(こうかつな人、ずる賢い人)も隠喩です。


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