訳と意味の理解(1)執筆A.Y.

文脈に注意しよう

英語を学習するとき、意味を理解する手段として、ふつう英語を日本語に訳すことが行われます。

理想的には日本語を使わないで、英語だけで意味がわかるのがいちばんよいのですが、英語の学習を始める年齢や限られた学習時間などを考えると、ある程度日本語を用いることもやむをえないと思います。

訳というものはどの程度正確に意味を伝えるものなのでしょうか。

例えば、Good morning.を「おはよう(ございます)」、paperを「紙」と訳せば、それはもちろん正しい訳ではあるのですが、これらの語句のすべての意味を正確に伝えていることにはなりません。

これは、次の2つのことを考えてみればわかります。

ことば、特に単語やイディオムは一定の意味の範囲があり、関連した複数の意味をもつのがふつうです。

例えば、paperには「紙」「新聞」「試験の答案用紙」「書類」「論文」「壁紙」などいろいろな意味があります。

また、Good morning.は夜明け(場合によっては午前0時)から正午まで(場合によっては午後1時ごろまで)のあいさつなので、日本語の「おはやう」のほかに「こんにちは」に相当することもあります。

一方、ことばの意味は前後関係やその場の状況(これらをまとめて文脈と呼びます)によって決まります。

例えば、What's the headline of today's paper?(きょうの新聞のトップ記事は何ですか)とあれば、このpaperの意味は「新聞」であり、Turn in your papers now.(さあ答案を出しなさい)とあれば、このpaperは答案という意味です。

また午前8時ごろの会話の中でGood morning.とあれば「おはよう」と訳せますが、午前11時ごろであれば、その訳は「こんにちは」とするほうが日本語としては自然です。

つまり、Good morning.を「おはよう(ございます)」、paperを「紙」と訳すのは、これらの語句の意味の一部を表わすのにすぎないのであり、また訳をするときには、文脈がはっきりしなければ複数ある意味の中のどれを訳として選んでよいのかもわかりません。

ですから、正確を期そうと思えば全部の意味を書かなければなりませんし、反対に極端なことを言えば、Good morning.を「こんにちは」とだけ訳しても正しい訳といえるのです。

文脈がはっきりしないと、単語はもちろん文全体の訳も決まりません。

例えば、Is that a book?という質問は、thatが「第三者が持っているもの、または話し手と聞き手の両方から離れたところにあるもの」を指して言うのなら「あれは本ですか」となるし、「聞き手が手に持っているもの、または聞き手の近くにあるもの」を指して言うのなら「それは本ですか」となります。

これは、日本語の「これ」「それ」「あれ」と英語のthis, thatの意味の違いによるものです。

さらに、この質問がだれに対して発せられるかによっても訳し方が違ってきます。

友人同士であれば「それ(あれ)は本かい?」となるかもしれませんし、目上の人に対してなら「それ(あれ)は本ですか?」となるでしょう。

このような文のスタイル(これを文体と呼びます)の違いも日本語と英語の両方にあり、どれにするかはやはり文脈によって決まってくるのです。


「訳と意味の理解(2)」へ続く

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