訳と意味の理解(5)執筆A.Y.

訳とは何か(2)

ごくふつうには(1)のように訳されますが、この訳には、話し手の「雨が降らなければよいのだが」という気持ちが必ずしも表わされているとは言えません。

この日本語は、例えば、日照り続きでどうか雨が降ってほしいと願っている場合にも使えるからです。

しかしだからといって、(2)や(3)のように訳すのは少し意味が強すぎて訳しすぎになるでしょう。

文脈にもよりますが、(4)は比較的原文に近い訳と言えるのではないでしょうか。

I'm afraidの訳が抜けているのではないかと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、I'm afraid=「思う」というように訳を固定化することはかえって害が多いので、そのようなことは気にすることはありません。

それよりも内容が伝わることが肝心です。

ただし、この(4)の日本語も、雨が降ることが好ましい場合にも使えますから、英文の意味を完全に伝えているとは言えないでしょう。

つまり、訳というものは近似値にすぎないということです。

英語にはI'm afraidのほかにも、I hope(希望的に思う)、I expect(予想して思う)、I suppose(推測して思う)、I think(考えて思う)など、いろいろな「思う」があることを考えると、そのことがますますはっきりします。

今度は、日本語から英語への訳す場合を考えてみます。「彼女は中学生です」という日本語は、次のように英訳することができます。

(1)She goes to junior high school.

(2)She goes to a junior high school.

(3)She is a junior high school student.

(4)She attends a junior high school.

(5)She is in junior high school.

まだこのほかにも言えますが、これらはみな少しずつニュアンスが異なります。

(1)と(2)の違いはaがあるかないかの違いですが、(1)はgo to schoolの延長としての言い方で、高校でも小学校でもなくて、中学校に通っているということであるのに対して、(2)はある中学校(例えば彼女の町の)に通っているということで、日本語ではこのような区別はしていません。

(3)(4)は少し堅苦しい言い方になります。

(5)は(1)とほぼ同じですが、(1)のほうがふつうの言い方です。

以上のことから、訳というものは1つだけではなくいくつでもできるということ、しかも唯一でぴったりの訳というものはなかなかなくて、いくつかの訳の中から文脈に応じていちばん近い訳を選択するという作業が必要であるということがわかります。

もし正確な意味を伝えようと思ったら、訳ではなくて説明に頼らなければなりません。

例えば、Good morning.を「おはよう」と訳すだけでは、この英語のあいさつの正確な意味を表わすことはできません。

「夜明け(場合によっては午前0時)から正午(場合によっては昼食をとる)までの間に、その日初めて会った知人に対するあいさつ」と説明して初めて、Good morning.の意味を伝えたことになります。


「訳と意味の理解(6)」へ続く

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