上級者編・耳よりな表現術の話(4)執筆A.Y.》

比較級の表現(1)

日本語からは比較級を使うことが直感されないけれど、ネイティブスピーカーにその英訳例を提示されると比較級を使う方が適切だと感じられる場合が少なくありません。

英語における、原級で表現される状況と比較級で表現される状況との区別が、比較級のない日本語ではあいまいになります。

日本語の形容詞が英訳では比較級に訳出される用例を見てみましょう。

「(シャワーのあとで)さっぱりしていい気持ちだ」
That was refreshing. I feel better.

「気持ちがいい」ことを表現するとき、日本語ではどの程度気持ちがいいかまで細かく言いませんが、英語では、シャワーを浴びる前の気分と比べて「気持ちがいい」という、より具体的な表現になっています。

前者は「気持ちがいいか悪いか」が問題になるレベルの表現であり、後者は「どの程度気持ちがいいか」が問題になるレベルの表現であるといえます。

「だいぶ寒くなった。もう秋ですね」
It's got a lot colder. Autumn's on us.

これも上の例と同様に、比較級の使用によって英語では「寒さ」をより具体的に表現しています。

それと比較対照すると、日本語では「暑いか寒いか」という捉え方をしていることがはっきりします。

比較級のない日本語にも、英語の比較級表現に近いものがないわけではありません。

「より〜」や「ほかに」などがそうです。

しかし、英語の比較級表現に対応する語句が日本語で省略されると、日本語に潜在する比較級的発想が見えなくなってしまいます。

しかも、そのような省略はしばしば行われ、その省略された表現の方が日本語では日常的なのです。

例えば「何もありませんが、召し上がってください」はよく非論理的な表現だとして非難されますが、これは本来なら「何もありませんが」の前に「他に」「これ以上のものは」などの語句があって、比較の対象や判断の基準を示すはずが、省略されているのです。

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