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語彙を豊かに(1)執筆A.Y.》

現状は

みなさんが中学から高校までの6年間に習った英単語の数はどのくらいになるかご存知ですか。

これは同一出版社の検定教科書だけを使った場合ですが、1990年以前に高校を卒業された方ならば4,900語程度、それより若い方なら多くて2,900語です。

参考までに、英米の子供は小学校に入る前に2,000語は書けないにしても使っているといわれています。

最新の学術調査にもとづく「ワシントン・ポスト」の記事によれば、アメリカの子供は6歳までに13,000語を、18歳までに60,000語を習得するそうです。

ところが、日本の中学の英語の教科書に出てくる単語の数は3年間でわずか1,000語、これはあまりにも少ないといえるでしょう(ただし、もし検定教科書を2種類使えば、中学でも1,500語ぐらいは学ぶことができます)。

そして新学習指導要領のもとで教育を受けた平均的な高校生が、英語の教科書で2度以上出会う語はせいぜい2,000語くらいでしょう。

その一方で、私立大学の入試に出てくる単語はどんなに少なくとも5,000語は覚悟しなければならないので、この大きなギャップを埋めるために、進学校ではレベルの高い副教材を使い、生徒はそれに加えて塾や予備校に通って勉強し、受験用の単語集を丸暗記することになります。

言うまでもなく、単語集を使って暗記するのは、退屈で効率も悪いので、それらの単語の多くは、受験期が終わればすっかり忘れられてしまいます。

ようやく大学に入ると、いきなりレベルの高いテキストを読まされますが、辞書を頼りに意味をとるのが精一杯で、大学で飛躍的に語彙が増えたという話はあまり聞きません。

さて、古いデータにはなりますが、1981年に発表されたギネス社の統計によれば、イギリスで16年間の教育を受けて大学を卒業した人が日常会話で使う単語の数は約5,000語で、文章に使う語は10,000語以内だということです。

ふつうの人ならもっと少ないはずですから、日常使われる英語のほとんどは3,000〜3,500語以内に入っているといいでしょう。

また、COBUILDやLDOCEといった英英辞典は2,000〜2,500の基本語で語の定義や説明をしています。

こういったことを考え合わせると、高校卒業までに習った単語のうち、せめて2,500語だけでも使いこなすことができれば、日常的なことはたいてい表現できますし、なるべくそうした方が望ましいのです。

堅い内容の文章を書くときでも、わかりやすいことばを使うのが現代の傾向だからです。

とはいえ、実は2,500の基本語を使いこなすのは至難の業です。

この中学と高校で習った2,500語は、その後の英語学習の核となるものですが、この基本語について、発音から始まって、意味や用法にいたるまで、完璧に身につけている人は決して多くありません。

受験用に暗記した単語はいってみれば生気が乏しくて、いざ使おうと思ってもぜんぜん使いものにならないということは多くの人が経験から知っている通りです。

さらに、そういう基本語から成る重要な慣用句をきちんと文脈の中で理解して、それを使いこなすためには相当の修練が必要で、TOEFL(CBT)のスコアが250点程度の英語力の持ち主でさえ、その入り口にやっと達した程度といわれています。


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