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アメリカの雑誌(1)執筆A.Y.》

THE NEW YORKER

「ニューヨーカー」という雑誌は、数あるアメリカの雑誌の中でも特異な位置を占めています。

それは、基本的な構成や内容が、1925年の創刊当時とそれほど違わない点であり、この一点だけからみても、この雑誌の凄みというものがわかります。

アメリカであれ日本であれ、現在、雑誌の創刊が相次ぎ、同時にいわゆるリニューアルという形で、多くの変化が一年単位で行われていることを考えると、この80年間変化がないというのは、驚くべきことです。

'American institution'と評される所以です。

写真ではなく、主として季節感をモチーフとしたイラストレーション(ドローイング)が表紙を飾る伝統も変わることなく、現在に至っています。

それでは、「ニューヨーカー」とはどんな雑誌なのかというと、誌名からニューヨークのタウン誌と思い込む方もいるかもしれませんが、タウン誌という言葉から想起されるようなものではありません。

情報誌というより、後述するように文芸中心の読み物誌です。

巻頭を飾る映画、音楽、美術などの案内は、日本の「ぴあ」と同じような意味合いを持っていますが、その他の大部分を見ればわかるように、この雑誌は、いわば文芸誌という面と、論壇誌という面の二つを併せ持っているといえるでしょう。

今日ある伝統を作り上げたと言われる2代目編集長ウィリアム・ショーンが52年就任以来、50冊以上の本が「ニューヨーカー」に掲載されたものとして出版され、この雑誌はアメリカ文学の歴史を作り続けています。

例を挙げれば、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」、トルーマン・カポーティの「冷血」ほか、ウラジミール・ナボコフ、J.D.サリンジャー、アーウィン・ショー、ジョン・アップダイクなど、アメリカ現代文学を代表する作家たちの分岐点となった作品がこの雑誌から生まれています。

初代編集長ハロルド・ロスは「ニューヨーカー」について、創刊趣意書の中で次のように書いています。

「帝都の生活を文章と写真で反映させるものである。それは人間的なものとなるだろう。主調となるのは陽気さや粋、皮肉といったものであろうが、おふざけといったものではない。それはいわゆる洗練されたものではなく、読者を想定するなら、彼らを適度に啓発するものとなるだろう。くだらぬものは退けるだろう」


「アメリカの雑誌(2)」へ続く


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