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コミュニケーションの上手なとり方(6)執筆A.Y.》

感謝の仕方(1)

「すみません/申し訳ありません/悪いですね」などを感謝の表現として使う言語習慣が日本にはあります。

しかし、英語文化圏の人々に対して、無意識のうちにお礼のつもりの「すみません」をそのまま英語にしてI'm sorry.と言ってしまうと、相手は面食らい、ちぐはぐな応答をすることになるでしょう。

日本人が贈り物をもらったときや、親切を受けたときに言う「すみません/申し訳ありません/悪いですね」などは、実際の会話の中での働きという点では、感謝の表現としての機能を果たしていますが、本来はおわびの表現です。

つまり、おわびの表現が感謝の表現としての機能をもつようになったのです。

ところで、感謝の表現は、大きく2つに分類されるといわれています。

1つは、与えられた品物や好意またはその贈り手に対して喜びや賞賛を表わすというかたちの感謝の表現です。

2つ目が、品物や好意を与えてくれたこと、またはその贈り手に対して労をねぎらう、あるいは心配をかけたことをわびるというかたちの感謝の表現です。

日本語のコミュニケーションでは前者よりも後者のほうが多く、しかもその方が、よりかしこまった丁重なお礼に聞こえます。

日本では伝統的に恩義が重視されてきたため、相手にお世話になっていることを表現することが、日本人の言語行動の社会的ルールとして定着し、それはpolitenessを表現するための工夫の一つとなりました。

ある言語学者の分析によれば、英語などのヨーロッパの言語では、感謝の気持ちをおわびの表現によって伝えることはまずない。

それに対して、インドのヒンディー語のように、感謝の気持ちと恩義を受けてかたじけないという気持ちや相手への負い目が表裏一体をなしている言語もあり、日本語もその一つである。

このような言語文化的背景があるため、日本人は感謝の表現として「ありがとう」より「すみません」をよく使う、ということです。

ただし、相手に労をかけたことをすまなく思う日本的発想のお礼の表現が、英語にもないことはありません。

You shouldn't have gone through so much work.(こんなたいへんなことをしてくださらなくてもよかったのに)とかYou shouldn't have (done this).(こんなことしていただかなくてもよかったのに)のように言います。


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