ジェスチャーの文化差《執筆A.Y.》

翻訳で一番難しいのは、単語の処理でも、構文の転換でもなく、身ぶりや表情にあらわれる文化の差であるといわれます。

これは一般の英語学習者にとっても変わりません。

さっそく例を見てみましょう。

"You are late again!" said the boss, narrowing his eyes.

後半の分詞構文を「目を細めて」と訳すと、前半とどうもうまくつながりません(辞書ではnarrow one' eyesは「目を細くする」、with narrowed eyesは「目を細めて」と一応書いてありますが)。

「目を細める」という日本語からは満悦の表情を思い浮かべるからです。

日本人は、例えばかわいいものを見て、笑みを浮かべるときに目を細めるわけです。

しかし英語では、narrow one's eyesというのは疑惑や怒りの表情なのです。

ですから、上の例文は「上司はけわしい目つきで言った」と訳すのが適切です。

逆に、たとえば「孫娘のピアノ演奏を彼は目を細めて見ていた」を直訳してwith narrowed eyesを使うと人を疑うときの目つきになってしまいます。

ここは「愛情を込めて」と考えてHe fondly watched her granddaughter playing the piano.とするのが訳し方の一つです。

The last question really had us scratching our heads.

scratch one's headは「頭をかく」と一応訳すことができます。

「頭をかく」というのは日本語では照れ隠しの動作を表わしますが、英英辞典を見るとthink hard about a difficult question or problemとなっています。

つまり、「困って、悩んで頭をかく」ということで困惑や思案を示すしぐさなのです。

上の例文からも、難しい問題に悩まされて頭をごしごしかいている話し手たちの様子が思い浮かびます。

このように、日本語と英語のジェスチャーの意味合いにはずれがあるものが多いので、十分注意する必要があります。

英米人の身ぶりや表情を正しく読み解くための手引書として有益な本を紹介します。

「しぐさの英語表現辞典/\4,410 小林祐子編著 研究社」

英米人のジェスチャーを表わす用例が英米の小説や新聞、雑誌から多数収録、解説されています。

わかりにくい動作にはイラストが添えてあり理解を助けてくれます。

興味のある方はぜひ手にとってみてください。

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