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中級者編・耳よりな表現術の話(3)執筆A.Y.》

長いセンテンスを書く(2)

ある研究では、プロの作家の書く熟達した文は、単に文を結合して従属節を含む文になっているだけではなく、プロの文をダイナミックにしているのは、末尾修飾であるということが指摘されています。

末尾修飾には関係詞節、分詞句、前置詞句などが用いられます。

これらに修飾されながら英文は右へ右へと伸びていくわけですが、それによって主節の意味がさらに明確化されたり、特定化されるのです。

主節の長さはアマもプロも変わりないのですが、プロの文の特徴の一つはこの末尾修飾を累積することによって文が長くなり内容が深くなっていることなのです。

Europe may be the most despoiled continent, but Africa is becoming the least habitable, with 50 million people subsisting on land so damaged by desertification that famine is a perpetual threat.

上の英文のbut以下は次の4個の単文から成り立っていると考えることができます。

Africa is becoming the least habitable.
50 million people are subsisting on land.
The land is greatly damaged by desertification.
Famine is a perpetual threat.

この英文の書き手は、最初の文を主節とし、2番目の文を付帯状況のwithの句に変えて結合し、3番目の文を前のlandを修飾する分詞句に変え、4番目の文を前のdamagedの程度を説明する副詞節(so … that構文)に変えてまとめています。

内容的には、主節の理由をwith以下で説明していますが、landを説明するso damaged以下が、とりわけその理由を明確にしています。

英文の構成はまず結論が先で、それからその根拠を説明していくのが基本ですが、センテンス内のレベルでも長くなると、このような構成が顔を見せるのです。

また、主節の中のthe least habitableという抽象表現が、それに続く修飾語句で説明され、右に進むほどより具体的になっていく、つまり抽象度が低くなっていくことがわかります。

ここには「抽象から具体へ」「一般から特定へ」「概要から詳細へ」という英語的発想も見られるのです。

プロの文とアマの文の構造上の違いはこのように末尾修飾語句の数が大きく違うことです。

修飾部分がすべて被修飾部分に前置する日本語の構造に慣れている日本人にとって、熟達した英文に特徴的である末尾修飾語句の累積使用は特に練習が必要です。

日本語は修飾語句の少ない言語といわれています。

英語学習のための辞書や参考書に示される数々の例文は、その項目のためには適切であっても、文体としては必ずしも熟達した文ではなく抽象度の高い文です。

名詞とか動詞とか文型は伝えようとする意味内容の出発点であって、それは修飾語句によって肉付けされて生き生きしたものになっていきます。

上級レベルを目指す方は、プロが書くような長さと内容をもった英文を創造的に書く訓練が不可欠です。

(終)

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