おすすめ教材・上級者編・リーディング執筆A.Y.

「英語のこころを読む/\999 ちくま学芸文庫 行方昭夫著 筑摩書房」

英語を読む楽しさを多くの人に味わってもらいたい、そのために、高校までに学習した英文法の知識と、コンテクストに対する感性だけを頼りに、知性をフル回転させて「英語のこころ」を読み込んでみよう、というのが本書の主旨です。

第1部の「英文読解をめぐる12章」では、英文読解、特に精読をする上で留意すべきことと読解をめぐる著者の体験が述べられています。

第2部の「ノエル・カワード「私生活」を読む」では、英文と語句注、訳が示されています。

特に語句注の部分では、第1部で述べられた英文読解上の留意事項を具体的に実践してみせるという趣向になっています。

著者が本書で説いている読解術は特に目新しいものではありません。

英文を正確に深く読むために必要なのは、よく辞書を引き、学習した基本的文法の知識を該当する英文にきちんと適用し、前後関係・文脈に細心の注意を払う習慣を養うことだと述べています。

選ばれた英文は、極め付きに面白い筋の喜劇です。

そのあらすじを紹介すると、一度は別れた夫婦がそれぞれの再婚相手と出かけた新婚旅行先で偶然にも鉢合わせをして、互いにまだ惹かれあうのに気がつき、よりを戻すというものです。

男女関係の機微やユーモラスな会話の妙が全ページに満ちていて、「英語のこころ」を読む教材としては、これ以上適切でなおかつ面白いものはなかなか見つからないでしょう。

最近は英語のリーディング学習となると、大意をつかめればよい、というのが主流で、著者が力説する精読はやや影が薄いようです。

どちらかといえば深みや陰影に欠ける平板な英文であれば、あちこち細部にこだわる必要もないし、大意をつかむためには速読を心がけるのがいいし、著者もそれを奨励しています。

しかし、人生の意味を解き明かすような文章は必ずしも平明なものばかりではありません。

むしろ陰影に富んだ文でつづられ、屈折した論理の展開をもつものが多いのです。

そのような英文を読解しようとすれば、まず、文法的、内容的に正確に一文一文の意味を把握する努力をしなければなりません。

このような深みや含蓄のある多少とも込み入った英文に対処するときこそ、著者の力説する精読が必要となるのです。

リーディング学習において目指すべきことは、英文の性格や読み手の目的に応じて、読み方を適切に選べる力を養うことではないでしょうか。

大意をつかめばそれで事足りる英文はそれにふさわしい読み方で読み、込み入っていて陰影に富む英文を読むときは、それに十分に対処できるような柔軟性を身につけなければならないのです。

なお、この著者によって同じ主旨で書かれた「英文快読術/\945 岩波現代文庫 岩波書店」もおすすめです。

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