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わけのわからない文法用語(2)執筆A.Y.》

科学的・理論的文法研究においては、研究の進展とともに、文法用語が変わります。

ところが、日本の学習文法で使われている用語はあまり様変わりしていません。

学習文法で使われる用語はもともと基本的なものに限られているのだからそれほど変わるはずがないと言うこともできますが、学習文法の内容が科学的・理論的文法研究の進展についていっていないと言うこともできます。

その例の一つが「分詞」と「動名詞」です。

次の下線部の形式は、日本の学習文法では「分詞」、もっと正確に言えば「現在分詞」と呼ばれています。

(a) The car was approaching us.

(b) the approaching car

なぜ「分詞」とよばれているのか。それは、動詞の性質と形容詞の性質を分け持っていることばだからです。

それに対して、次の下線部は「動名詞」と呼ばれています。

(c) Heating a big house is expensive.

しかし「動名詞」は、形の上では、「現在分詞」と同じです。

「現在分詞」と同じ形であるにもかかわらず、「現在分詞」と呼ばないで「動名詞」と呼ぶのは、「動名詞」は普通の名詞と同じように、主語、動詞あるいは前置詞の目的語、補語として使われるからです。

一方、「現在分詞」は、be 動詞に続き進行形を作ったり、名詞を修飾したり、次のように動詞(あるいは文)を修飾したりします。

(d) Feeling tired, I went to bed early.

ところが、近年出版された英米の学習文法書には、present participleやgerundという用語もあることはありますが、2つをひとくくりにして-ing formあるいは-ingと呼んでいる箇所も多いのです。

私が愛用している「Practical English Usage. 2nd ed.」(Michael Swan, Oxford University Press)は、「どちらも通常は-ing formと呼ぶ」としています。

to +動詞の原形のときには、「不定詞」には名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法という3つの用法があるとしておきながら、-ing形のときには、(a),(b),(d)を「分詞」、(c)を「動名詞」と別の呼び方にするのは理屈に合わないということでしょう。

-ing 形にも、名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法という3つの用法があってもおかしくはないのです。

つまり、(b)は-ing形の形容詞的用法、(c)は名詞的用法、(d)は副詞的用法でいいのです。

「現在分詞」と「動名詞」は表面上の形に着目して、一括して「-ing形」と呼ぶほうがよいのではないでしょうか。


わけのわからない文法用語(3)」へ続く


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